MT4とは
MT4(メタトレーダー4)とはロシアのメタクオーツ・ソフトウェア(MetaQuotes Software)社により開発された取引システムです。 メタトレーダーは機能がとても優れているのにも関わらず無料で使用することができます。
MT4には、便利なツールが豊富に揃っています。特にテクニカル分析をメインに取引をする場合、多種多様なインジケーター、時間足、チャートのカスタマイズ性が優れているため、大変重宝します。本記事では高機能ツールMT4の使い方について詳しく解説します。
MT4導入の流れ
まずは、国内のFX会社の中でMT4に対応している会社からMT4をダウンロードします。今回は『外為ファイネスト』を例にします。
1:外為ファイネストのサイトから口座開設の申請をします。
2:口座開設の登録が済むと、MT4口座のIDとパスワードが書面で郵送されてきます。
3:外為ファイネストのホームページからマイページにログインし、MT4をダウンロードします。
4:MT4を立ち上げて、2で郵送されたIDとパスワードを入力すると、MT4を利用することができます。
MT4導入は大変そうに見えて、意外と簡単なので是非導入をしてみてください。
MT4の導入が完了したら先ずはMT4の使い方に慣れていきましょう。取引をする上で相場の環境認識が重要になります。チャートをただ表示しただけでは、今の相場がどのような環境にあるかをすぐに判断するのは難しいからです。
基本設定
MT4を導入したら基本の設定を行いましょう。
(1)「ツール」→「オプション」をクリックします。
(2)オプションの項目には①[サーバー] ②[チャート] ③[ライン等の設定] ④[取引] ⑤[エキスパートアドバイザ] ⑥[通知機能] ⑦[Eメール] ⑧[FTP] ⑨[音声設定] ⑩[コミュニティ]があります。色々設定項目があり何を設定すべきか迷いますが、②[チャート]、 ⑤[エキスパートアドバイザ]、⑨[音声設定]の3だけ設定すれば特に問題ありません。
チャート設定
チャート画面ではMT4にチャートを表示した時に、価格等を表示するか設定することができます。基本的に初期設定のままで問題ありませんが、設定を変えた方が良い項目もあります。
(i)Askラインの表示・・・ここにチェックを入れることで、Bid[売りライン]だけでなくAsk[買いライン]を表示することができます。スプレッドの広がりを確認できるので、ここはチェックを入れておくと良いでしょう。
(ii)ヒストリー内の最大バー数・・・MT4には裏側にヒストリカルデータ(過去の値動きを記録した媒体)を保持しています。自動売買EAやインジケーターでバックテストをする際にここの値のバー数まで遡って検証できるので、必要に応じて値を変更する必要があります。
(iii)チャートの最大バー数・・・MT4にチャートを表示した時にここの値のバー数まで表示することができます。この値を大きくすればするほど過去に遡ってチャートを表示することができます。デメリットは表示バー数が大きくなるとMT4の動作が重くなるので、必要に応じて変更しましょう。
エキスパートアドバイザ設定
エキスパートアドバイザの項目は自動売買取引でEAを使用する場合に必須項目になります。EAを使用して自動売買取引をする場合はここの項目にチェックを入れないと正常に動作しません。
音声設定
MT4上で各操作をした時に音を鳴らすかどうかの設定をできます。音声設定はしなくて良いですが、EAがポジションを保有した時に音声で知らせてくれたり、インジケーターの売買シグナルを音声で知らせてくれる場合は設定が必要なので、場合に応じて設定変更しましょう。
チャートの表示について
基本設定が完了したら、いよいよチャートを表示させましょう。
(1)「ファイル」→「新規チャート」→表示したい通貨ペアを選択。(例:USDJPY)
ドル円のチャートが表示されました。デフォルト設定ではシンプルな表示ですが、チャートを自分好みにカスタマイズすることもできます。MT4はチャートのカスタマイズ性が高い分、操作に難しさを感じる方もいますが、慣れてしまえば簡単です。基本的なチャートのカスタマイズ方法を列挙します。
便利な機能!!『チャートの再表示』
「チャートの再表示」という便利な機能を解説します。MT4を長く使用していると「あるある」なのですが、表示していたチャートを誤って✕ボタンで閉じてしまうことがあります。折角時間をかけて設定したチャートも1度閉じてしまうと再度設定し直す必要があります。実は1から設定し直すことなくチャートを復元する機能があります。それが「チャートの再表示」です。セットした全ての機能、インジケーター、EA、チャートの配色など全て元通り1発で復元されるので、大変重宝します。
(1)「ファイル」→「チャートの再表示」をクリックします。消えてしまったチャート一覧が表示されているので、該当のチャートをクリックします。
便利な機能!!『定型チャート』
MT4のチャート機能には「定型チャート」というとても便利な機能があります。これはチャートに設定した全てのインジケーターや設定を保存し、1つの通貨だけではなく、複数の通貨に複写することができます。テクニカル分析を主流とし、多くのインジケーターを使用している方の場合、通貨毎に毎回セットするのは時間の無駄なので、「定型チャート」を利用しましょう。例として、[EURUSD]にセットしたチャートの設定を[USDJPY]に複写する場合の流れは下記のとおりです。
(1)[EURUSD]にチャートの配色、使用するインジケーター等を全てセットします。
エンベロープ8本、移動平均線1本、ストキャスティクスのインジケーターをセットしました。パラメータ設定やインジケーターの色設定など細かい作業を含めると1つセットするにも時間がかかります。設定が完了したら、セットした情報を保存します。
(1)チャートを右クリック→「定型チャート」→「定型として保存」をクリックします。
(2)「ファイル名」に定型チャートの名前を入力し、「保存」をクリックします。
(3)[USDJPY]のチャートを表示し、右クリック→「定型チャート」→「読み込み」をクリックします。先ほど保存したファイル名を選択し、「開く」をクリックします。
[USDJPY]に設定した全てのインジケーターや設定を複写することができました。
表示したい通貨ペアが見つからない場合
チャートに表示したい通貨ペアがメジャーなものであればすぐに見つけることができますが、マイナー通貨を表示させたい場合は、上記の方法では見つけられません。対象通貨ペアが見つからない場合は以下の手順で表示させます。「例:GBPAUD」
(1)「表示」→「通貨ペアリスト」をクリック。
[GBPAUD]を見ると、アイコンが黄色ではなく灰色になっています。[GBPAUD]を選択し、「表示」をクリックします。
「表示」をクリックすると、アイコンが灰色から黄色に変化しました。これで通貨ペアが表示される状態になりました。「ファイル」→「新規チャート」で確認します。
[GBPAUD]が新規に追加されていることを確認できます。これでチャート表示することが可能になりました。
チャートの形状変化
オーソドックスなカスタマイズ方法の1つ目は、チャートの形状変化です。
(1)「チャート」をクリック。
(i)バーチャート(ii)ロウソク足(iii)ラインチャートの中から選択し、クリックをするとチャートがそれぞれの形状に変化します。
日本で一番ポピュラーなのは (ii)のロウソク足です。ロウソク足とは、実体と呼ばれる長方形の部分と、ヒゲと呼ばれる細い線が組み合わさって表現されます。実体とヒゲの組み合わせた形ががロウソクに似ていることからロウソク足と呼ばれています。1本のロウソク足から多くの情報が得られ、ロウソク足の種類や出現パターンによって相場の動きを読むことができ、実践的なグラフです。
チャートの時間足の変化
チャートの形状の1つにロウソク足があります。ロウソク足が何本も組み合わさってチャートに上昇、下降トレンドの波が形成されます。1本1本のロウソク足の形成にかかる時間を変化させることを「時間足の変化」と呼びます。1分で1本のロウソク足が形成される場合、『1分足』と呼び、5分で1本のロウソク足が形成される場合は『5分足』と呼びます。
相場の波はフラクタル構造であり、大きな時間足で見た時の波は、その時間足よりも小さな時間足の波により形成されています。小さな波だけを見続けて、大きな波を見ないのは(木を見て森を見ず)トレードする上で好ましくありません。
1本のロウソク足の時間を変更するやり方
(1)「チャート」をクリック。
『1分足』、『5分足』・・・・最大で『月足』まで変化させることができます。『月足』になると1本のロウソク足が形成されるまでに1ヶ月かかります。相場を大局的に見たい場合は大きな時間足を参考にすると全体的にトレンドはどちらなのか判断することができます。
出来高の表示
出来高とは一定の価格で約定が成立したときに、買い注文と売り注文の取引が成立した量のことです。出来高を見る事で売買成立時の価格における売り勢力と買い勢力の圧力見ることができます。出来高を参考にしたトレード手法もあるので、表示方法を覚えておきましょう。
(1)「チャート」→「出来高」をクリック。
チャート下部、ロウソク足の下に各時間足毎の出来高が表示されました。
チャートの基本表示に関しては以上になります。通貨ペア、チャートの形状、時間足、出来高表示は基本の設定です。その他チャートに関しては、好みの色に変化させたりもできますので、自分好みのチャートを作成しトレードに役立てましょう。
インジケーターの表示について
インジケーターには(i)トレンド系の指標(ii)オシレータ系の指標があります。(i)で代表的なのは移動平均線やエンベロープ。(ii)で代表的なのはRSIやストキャスティクスです。この記事ではトレンド系指標の代表、移動平均線の表示について解説します。
移動平均線(MovingAverage)とは
移動平均線とは一定期間の価格の終値の平均を算出し、その値をつないだ線です。
移動平均線はトレンド系のテクニカル指標でありトレンドを把握するために利用されます。
移動平均線は単純移動平均線(SMA)、指数移動平均(EMA)、平滑移動平均(SMMA)、線形加重移動平均(LWMA)の4つの種類に分けることができます。
(1)「挿入」→「インジケーター」→「トレンド」→「MovingAverage」をクリックします。
(2)移動平均線のパラメータを入力します。
(i)期間(ii)移動平均の種別(iii)適用価格の3つのパラメータは好みに応じて変化させてください。「OK」をクリックすると、チャートに移動平均線が表示されます。
「挿入」→「インジケーター」からトレンド系やオシレータ系など複数自由に設定することができます。
EA(エキスパートアドバイザ)の表示について
裁量トレードではなく、自動売買取引をする場合はEA(エキスパートアドバイザ)を設置する必要があります。手順は下記のとおりです。
(1)「ファイル(F)」→「新規チャート(N)」をクリックし、適当な通貨(例:EURUSD)を選択します。
(2)EURUSDのチャートが表示されます。チャート表示後「自動売買」をクリックします。
(4)「MQL4」→「Experts」フォルダを開き、ダウンロードしたEA「daedalus-k.exe」を保存します。
(5)「表示(V)」→「ナビゲーター(N)」をクリックします。
(6)導入するEAを選択し、チャート上にドラッグアンドドロップをします。
(7)「全般」タブをクリックし、「自動売買を許可する」「DLLの使用を許可する」「外部エキスパートの使用を許可する」の3つの項目にチェックをつけます。
(8)チャート右上にEA名、にこちゃんマークが表示されればEAの導入は完了です。
以上がEA設置の流れになります。
バックテストのやり方
自動売買取引でEAを使用する場合は、EAが適正な取引をするかどうかの確認作業(バックテスト)が必要になります。MT4のバックテストのやり方に関しては、『超簡単!!MT4バックテストのやり方』で詳しく解説しています。
まとめ
本記事ではMT4の導入から各種設定方法について解説しました。本記事で解説した①「基本設定」②「チャートの表示」③「インジケーターの表示」はMT4で裁量トレードする場合最低限必要な知識なので、必ず身につけましょう。④「EA(エキスパートアドバイザ)の表示」以降は、自動売買取引をする方向けです。EAを設置して終わりではなく、必ずバックテスト等検証した上で、本番稼働するようにしましょう。MT4より高機能なMT5の使い方に関しては『MT5の使い方を1から丁寧に解説!!』を参考にしてください。
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