エンベロープ逆張りEAの応用編になります。まずはこれまでの記事でお伝えしてきたエンベロープ逆張りEAのエンベロープのパラメータ設定について再確認します。
エンベロープパラメータ設定
期間:20
移動平均線の適用価格:Exponential
適用価格:Close
偏差:0.1%~(※レベル1~8)
応用編では上記条件の期間:20の値を100に変更します。
移動平均線とは
移動平均線とは一定期間の終値の平均値をつなぎ合わせた線になります。これまでは移動平均線の値を20に設定していました。この20の意味は、ローソク足20本の終値の平均値になります。
移動平均線は、主に(1)短期移動平均線、(2)中期移動平均線、(3)長期移動平均線の3種類に分けることができます。一般的に(1)短期移動平均線:5 (2)中期移動平均線:25 (3)長期移動平均線:75 と言われています。この値は人によりけりなため、必ず短期移動平均線だから5ということではありません。
これまでの記事では移動平均線の値を20と設定していたので、移動平均線の種類は中期移動平均線に位置づけられます。応用編ではこの移動平均線の値を100とするため、長期移動平均線を使用してEAを運用することになります。
長期移動平均線を利用したエンベロープ逆張りEA
まずは中期移動平均線20と長期移動平均線100では、チャートの見た目はどのような違いがあるのかを図で確認してみましょう。
<中期移動平均線(期間:20)>
<長期移動平均線(期間:100)>
上が中期移動平均線(期間:20)、下が長期移動平均線(期間:100)になります。
同じ時間帯、時間足でも上下で違いがあるのがお分かりになると思います。中期移動平均線は上下に動いていますが、長期移動平均線はなだらかに動いています。
長期移動平均線をもう少し観察してみましょう。
短期、中期移動平均線ともにエンベロープの偏差は0.1%です。中期移動平均線では価格がエンベロープにタッチしていませんが、長期移動平均線では赤丸で囲った部分で価格がエンベロープにタッチして反発しています。
エンベロープ逆張りEAは長期移動平均線にも応用することができます。中期移動平均線ではエントリーを見送るポイントを長期移動平均線が捉え、利益に変えてくれます。
それでは、長期移動平均線(期間:100)の設定でバックテストを行い、損益がどうなるかを見ていきましょう。長期移動平均線のEAに変更した際の変更点(パラメータ設定)をお伝たえした上で、まずはエンベロープを1つ使用して過去5年間のバックテストを行い損益を確認します。
長期移動平均線でのエンベロープレベルライン
中期移動平均線を使用したエンベロープ逆張りEAでは、エンベロープレベルライン1(移動平均線からの乖離幅が1番小さい)の偏差は下記の通りでした。
・EURUSD,USDJPY:0.1%
・EURJPY,GBPUSD,GBPJPY:0.15%
長期移動平均線の場合エンベロープレベルライン1は、全ての通貨で偏差0.25%になります。これは、今まで長期にわたり過去検証をしてきましたが、偏差0.25%未満で取引をするとエントリーチャンスは多いですが、最終的には負ける確率の方が高くなるため、エントリーチャンスは少なくなりますが、最下層ラインを0.25%とするのがベストな設定になります。
今回は、エンベロープ偏差0.25%のみを使用した時のエンベロープ逆張りEAのバックテストを行います。条件は下記のとおりです。
エントリー条件
- 通貨:EURUSD
- 時間足:1分足
- ヒストリカルデータ提供元:デューカスコピー・ジャパン
- エンベロープ:偏差(0.25~),期間(100)
- スプレッド:10(1pips)
- エンベロープ1つ
- 期間:2013年11月01日~2018年11月20日
- ストキャスティクス:20%以下で買い条件成立,80%以上で売り条件成立
- 移動平均線:EAエントリー後、価格が移動平均線にタッチするまでは次のエントリーを見送る。価格が移動平均線にタッチしたら、エントリー可能な状態となる。
- エンベロープラインを下から上に数pips突き抜け、そこからエンベロープラインを上から下に突き抜けた瞬間にエントリーする。(※売りエントリーの場合[買いエントリーは逆の条件])
プロフィットファクタ:2.12 ドローダウン:0.31% 取引回数:446回
Lotは1万通貨固定、5年間で137,473円の利益となっています。
本来のエンベロープ逆張りEAの移動平均線100のレベルは、レベル1~7まであります。エンベロープを7つ使用してバックテストを行い、損益曲線を確認していきたいと思います。下記にチャート図を示します。
上下にそれぞれ7本エンベロープがセットされています。移動平均線(黄色線)から一番距離の近い線がエンベロープレベルライン1(青線)になります。
中期移動平均線の時と比べてみると、エンベロープの動きが比較的なだらかで、直線に近い波の形状をしていることが分かります。
チャート図で価格がエンベロープにタッチしている箇所を拡大して見てみましょう。
赤丸で囲んだ部分を見ると、エンベロープレベルライン1、2でそれぞれ価格がエンベロープにタッチした後反発しているのが分かります。前回の記事でお伝えしましたが、エンベロープのレベルライン1の偏差は0.25%です。これよりも小さくしてしまうと価格の反発が弱く、損切りに合う確率が高くなってしまうからです。
それでは以下にエンベロープ逆張りEAのエントリー条件と各通貨のバックテスト結果を記載します。
追加エントリー条件
- 時間足:1分足
- エンベロープ:偏差(0.25~),期間(100)
- スプレッド:10(1pips)
- エンベロープ7つ
- 期間:2013年11月01日~2018年11月20日
- ストキャスティクス:20%以下で買い条件成立,80%以上で売り条件成立
- 移動平均線:EAエントリー後、価格が移動平均線にタッチするまでは次のエントリーを見送る。価格が移動平均線にタッチしたら、エントリー可能な状態となる。
- エンベロープラインを下から上に数pips突き抜け、そこからエンベロープラインを上から下に突き抜けた瞬間にエントリーする。(※売りエントリーの場合[買いエントリーは逆の条件])
<EURUSD>
プロフィットファクタ:2.27 ドローダウン:4.49% 取引回数:790回
5年間で549,380円の利益となっています。
<GBPUSD>
プロフィットファクタ:2.36 ドローダウン:3.75% 取引回数:921回
5年間で674,403円の利益となっています。
<USDJPY>
プロフィットファクタ:2.73 ドローダウン:2.42% 取引回数:800回
5年間で585,170円の利益となっています。
<EURJPY>
プロフィットファクタ:2.21 ドローダウン:3.56% 取引回数:999回
5年間で612,980円の利益となっています。
<GBPJPY>
プロフィットファクタ:2.18 ドローダウン:2.76% 取引回数:1731回
5年間で1,174,050円の利益となっています。
長期移動平均線を使用したエンベロープ逆張りEAは中期移動平均線を使用したEAに比べエントリー回数は少ないですが、中期移動平均線で捉えられないエントリーポイントを補完してくれるため、中期移動平均線EAと併用することで、さらに利益を増やすことができます。
「応用編”長期移動平均線”」の記事では移動平均線期間を100と設定しましたが、100以外にも250や短期移動平均線5なども利益を出しやすいです。
これまではエンベロープ逆張りEAの時間足は全て1分足を使用していました。次回の記事では1分足から大きな時間足に変更した場合についてお話したいと思います。
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